Episode of Ferrydom
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50周年MOVIE
最優秀賞
私と父のふたり旅

投稿者:橋本麻玲 様

初めて父と二人旅をしたのは5歳の時。
いつも母にべったりだった私を
父は急に自分の大阪出張に同行させると言い出した。しかもふたりで。
私は父とふたりで出かけたことはなかったのに。
母は驚きのあまり、言葉がでなかったそうだ。

そんな母は絶賛妊娠中かつまだ1歳の弟を見なければならない状態だったため、付いていけない。
行く気満々の父に押され、どうにかなるだろうと承諾した。

今となっては子煩悩な父であるが、
実は一緒に旅をするまではそこまで子どもに興味がなかったのだそうだ。

はじめて父とふたりきりで過ごしたのがフェリーの旅だった。

今でも覚えている。
自分で好きなものを選んでいいレストラン。
はじめての体験。
教育が厳しい母と違って父はなんでも食べていいよと言ってくれた。
大好きな揚げだし豆腐を自分で選んだ。

知らない人と大きなお部屋で雑魚寝をした。
同じくらいの男の子がいて、おでこにスタンプを押して遊んだ。

眠れないと言ったら夜中に部屋からこっそりふたりで出て自動販売機でジュースを買ってくれた。
夜中にジュース!絶対に普段飲めないものを父は買ってくれた。

朝になって、長い髪を編み込んで!と言っては父を困らせた。
不器用ながらも頑張って二つ結びにしてくれた。

そこから父とふたりで大阪へ。
実はそこの記憶はあまりない。

ただ、帰りのフェリーでは
確実に父に甘えるのが上手になっていた。
ご飯はまた揚げだし豆腐を食べるんだよ!
と得意げに取りに行っていたらしい。笑

その以降私はすっかりお父さんっ子になった。

週末にはふたりで出かけることが多くなった。

フェリーでのふたり旅は高校生になってからも続いた。
USJに行ったり
宝塚に行ったり。

大阪の学校に進学することになり、父と入学式に出た。
入学式が終わった後、父を見送りながら、もうふたりじゃないんだと涙が出てきた。

それ以降、父との二人旅はしていない

27歳になった今、ふらっと父が遊びに来ることがある。

あれからふたりでフェリーに乗ってはいないけど、帰る父の背中をみながら、
いつかはまたふたり旅をしたいなぁと思う。
決行できる日はいつやら。

優秀賞
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